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February 18, 2005

冬の歌 ~交響的舞曲~

symphonicdance1 昨日から喉が痛い。なんとなく身体もダルい。いかん、これは風邪っぽい。朝起きて早くから十番の小田原病院へ。9時過ぎに駆け込んだのだが、すでに待合室は満員。しかし耳鼻咽喉科はそれほど混んでなかったようで、ほどなく診察を受けることができた。おばあちゃま先生は診察が丁寧なのでいい。お薬を処方していただき、早速飲む。早くよくなるといいけど。でもインフルエンザとかではなく、一安心。しかし、それもこれも結構な寒さに起因している。冬だから寒いのは当然なのだが、それでも寒ければ暖かさを、暑ければ涼しさを求めるのだから、人間は勝手なものだ。
 とはいえ、こと音楽に関しては断然秋冬がシーズン。音楽好きでは人後に落ちない僕ですら、暑い夏にはちょっと聴きたくなくなる。冬の空気は、凛として、すっきりと、透明に澄んでいる。それが音楽と共鳴するのかもしれない。
 僕には、冬になると決まって聴きたくなる音楽がいくつか。先日書いたバッハの「マタイ受難曲」とか、最近はそうでもないけど、チャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」の2楽章とか。同様に春になると聴きたくなる曲もあるのだけれど、それはまた春に。そして、僕の中で「冬の歌」の決定版がラフマニノフのシンフォニック・ダンス。ラフマニノフの最後の作品。僕の記憶ではたしか管弦楽として作曲され、後日作曲家自身がピアノ連弾用に編曲している。初めて触れたのは管弦楽版。全体は3楽章構成。1楽章はNHK大河ドラマ張りの重厚感を示すイントロ。中間部にはオーボエのアルペッジョを伴奏にアルト・サキソフォンが哀切な旋律を奏でる。この旋律。ヴォカリーズなどにも共通するけれど、ラフマニノフならではの悲しく、優しく、美しく、そして暗く、しかし甘美な艶を湛えたメロディ。想像でしかないけれど、ロシアの自然や人々の暮らしを彷彿とさせるメロディ。そしてこの旋律を奏でるのはアルトサックスしかない。最高のキャスティングだ。ラフマニノフのセンスに脱帽。
 第2楽章は複雑な形式を持つワルツ。冒頭のミュートされたトランペットが提示する主題からして、単純な3拍子に聞こえないように工夫が凝らしてある。そして3楽章。これはもう大好き。6/8拍子と9/8拍子を基本とする変拍子で構成される舞曲。僕は変拍子が大好きというのもいつかのコンサート評で書いたが、この曲はその観点からでは一番好き。複雑なリズムで編み上げられた構造の上に、カンタータ「怒りの日」のメロディを乗せる。この曲の構成は素晴らしい。
 ピアニストとして名高いラフマニノフだが、作曲技術も大変なものだ。それを実感させるのが、ローリン・マゼール指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏。僕が持っている数枚のCDの中では出色の演奏だ。スヴェトラーノフをはじめ、ロシア純血の演奏だとかなり濃厚なこの曲の土俗的な匂いをマゼールの知的なアプローチとベルリンフィルの巧さが完璧に抑え込んでいる。結果、曲の素晴らしさが浮き立つ。先の1楽章のメロディもしかり。しかしながら、クライマックスの盛り上がりは素晴らしい。オーケストラ版では文句なくこのCDがベスト。しかしなんと廃盤の模様。アシュケナージ&アムステルダムコンセルトヘボウ管、サントリーホールで実演にも接したジンマン&ボルチモア響も良いけれど、一応お奨めはガーディナー&北ドイツ放送響。マゼール版に匹敵する現代的なアプローチだ。ピアノ連弾ではアルゲリッチがラビノヴィッチと組んだ録音が素晴らしい。管弦楽版以上にラフマニノフのオーケストレーションが鮮明で鮮烈に響く。3楽章のクライマックスはピアノとは思えない音量と音圧。天才の作品は天才の演奏によってこそ輝くのだ。

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