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April 09, 2005

無くしたもの残ったもの

 『新日本紀行ふたたび』の第一回放送を観た。北海道帯広幸福駅を巡る人々の32年間の物語。ただ登場する人々の顔、表情、話し方、それらだけで十分力のある番組だった。昭和48年放送の「幸福への旅」に登場する開拓農民の人々と、平成17年の東京の人々を比べたとき、何かが失われていることを感じる。それが何か正確に言葉にできないけれど「失われたのだ」という直観がある。今ではほとんど見られなくなった素朴なカメラワーク。カツゼツのよい落ち着いた日本語によるナレーション。番組そのものの手触りもまったく異なる。しかしそれ以上に人々から「何かが失われた」という直観は強いのだ。敢えて言葉にすれば「無垢さ」ではないかと思う。インタビューに対し、何ら構えるところなく、正直に、誠実に、自分の言葉で、本心を語る人々。現代のテレビ番組でこのような人々を見ることはない。そして、もはや今の社会にあまり多くは存在しないのかもしれないと思う。
 32年を経て、登場人物の現在がカメラに映し出される。そして、そこには32年を経ても変わらない何かがあることがわかる。それも正確には言葉で言えないのだが、確かに「何かが残っている」という直観がある。最後に登場した女性の言葉。「平々凡々に生きてきただけなのですが、それが一番幸福なことなのかも知れません」こうした言葉を生む何か。現代日本に生きる僕たちに一番大事なのは、そんな何かなのかも知れないと思った。
 テーマ音楽は富田勲の名曲にヴォーカルを合わせたカバーバージョン。歌詞は、今日番組を観て感じた僕の気持ちを代弁するようなものだった。ツボに入るなあ、この番組。

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Comments

今日は夜勤明け、今、録画を見終わりました。
良いです忘れていた感動(ちょっと大げさ)見覚えのある映像
これから毎週楽しみです。

Posted by: 45gs | April 10, 2005 at 08:00 AM

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