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November 21, 2005

汚れちまった悲しみに

僕が客員研究員を拝命させていただいている
とある生涯教育団体のイベントに来賓として参加。
両国国技館を貸しきっての「青年の主張」弁論大会。
12歳から31歳までの11名のメッセージ。
いじめ、病気、別離。
人が考えを深めていくプロセスに
艱難の介在が必要であることが良く分かる。
特に中学生くらいの真っ直ぐで技巧的でない訴えが心に迫る。
青年のメッセージ(真顔で「青年」と言うのはちょっと気が引けるが)を
聞きながら、実は違うことを考え始めていた僕。

理念や夢やアイデア。
こうありたい、こうしたいという願い。
でもそれを踏み潰す現実がある、という主張も正しい。
小さな夢、大きな夢。
しかしそれを弄びながら毎日をダラダラと過ごすのが凡人。
ニーチェはそんな凡人を嫌い「畜群」とすら呼んだ。
そんな畜群に堕すのを恐れてか現実論だけを語る大人が多い。
世の中は厳しい、世間は甘くない、世界は弱肉強食。
パワーバランス、稼ぐが勝ち、株主資本主義。
僕もニーチェの言う「畜群」ではいたくない。
しかし強い者、権力者、大人が現実論を叩き付けるだけでよいのか。
権謀術数や世渡りの技術。
それだけを生きる標しとしてしまったら人は汚れるのではないか。
畜群を脱することと汚れることは別ではないのか。

選挙のために主張を変える政治家。
公約を破ることを大したことではないという宰相。
強度を偽り倒壊の危険を売る建築設計士。
安全性が担保されていない食肉を輸入再開する政府。

いまさら何をと思うが、これらは汚れている。
彼らは畜群ではないかもしれない。
しかしそれ以下である。

青年の主張を聞きながら、そんなことを考えていた。
講評では若者らしい夢や希望に大きな拍手が送られていた。
でも僕は、夢を持て、と言う言葉はあまり好きではない。
今敢えて、僕はそれをこう言い換えたい。
汚れないでくれ、と。

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Comments

”許せない事”に対して動けるのが大人だと思いますね。
子供の頃当たり前に持っていた”勇気”を、
いまはどこに隠したかわからない状態になってる。
その勇気を出すにはいろんな武装が必要なんだろうけど。

Posted by: GAKU☆ | November 22, 2005 at 02:16 AM

勇気かあ。
勇気を出すのに武装する、ってのもどうなんだろうね。
僕はヘタレでもいいけどウソツキにはなりたくないな。
今はそんな気分。(笑)

Posted by: umi | November 22, 2005 at 01:41 PM

月夜の浜辺  by 中原 中也

月夜の晩に ボタンが一つ
 波打ち際に 落ちていた
 それを拾って 役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
 何故だかそれを捨てるに忍びず
 僕はそれを、袂に入れた

 月夜の晩に ボタンが一つ
 波打ち際に 落ちていた
 それを拾って 役立てようと
 僕は思ったわけでもないが
   月に向ってそれは抛れず
   浪に向ってをれは抛れず
 僕はそれを、袂にいれた

 月夜の晩に 拾ったボタンは
 指先に沁み 心に沁みた

 月夜の晩に 拾ったボタンは
 どうしてそれが 捨てられようか?

 中也の中で一番好きな詩です。
 このボタンは、私にとって我が国日本かもしれません。
 たまたま生まれ育った国…。
 

Posted by: すずらん | November 22, 2005 at 06:14 PM

すずらんさん、こんにちは。
中原中也、今回改めて読みました。
やはり沁みました。(笑)
「月夜の浜辺」も今日改めて読みました。
やはり沁みますね。(笑)

Posted by: umi | November 22, 2005 at 07:06 PM

 こんばんは。
寒くなりましたね。風邪をひかれぬようお体ご自愛下さい。

 中也の詩は哀しいものが多いですが、美しく心に沁みますね。何かの比喩かもしれないと思い、いろいろと心を馳せます。
  そうそう、新宿へ行かれる事があったら
 期間限定ですが、美味しそうですよ。
 http://www.isetan.co.jp/icm2/jsp/store/shinjyuku/event/0511noel/p06.jsp

 良かったら、ほんの一時楽しんで下さい。 (*^-^*) 

Posted by: すずらん | November 22, 2005 at 08:54 PM

すずらんさん、こんにちは。
吉兆×ミクニのシャンパンバーですか。
これはちょっと面白そうですね。
吉兆の徳岡さんと三国さんは仲よさそうですもんね。(笑)

Posted by: umi | November 28, 2005 at 01:56 PM

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