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August 24, 2010

うたかた。

ぼんやりと今日のニュースを見ていると、
京王線の新宿駅で77歳の男性が
電車とホームの間に挟まれて死亡とあった。
記事を見ると、慶應義塾大学名誉教授、
星槎(せいさ)大学学長の方だという。
更に読み進めると、詩人佐藤春夫の長男、
佐藤方哉という人物だった。
佐藤春夫といえば、多作の詩人であるが、
友人である谷崎潤一郎の妻を慕い、その人を譲り受けるという
「細君譲渡事件」の方で知られているのかも知れない。

昨日亡くなった佐藤方哉さんは、
佐藤春夫と谷崎潤一郎の元妻の間に生まれた人物だったのだ。
方哉で「まさや」と読ませる命名は谷崎だったという。

僕は何が言いたかったのか。
つまり、人の死は誰にでも平等に訪れるのだということ。
こうした人物が、並んでいる列の先頭から、
酔っ払いに押し出されて電車に接触して亡くなる、
ということが起こりうるのだということ。
つまりは人の生はどうしようもなく儚いということか。

だからこそ、生を全うすることが尊いのだろう。

亡くなった人物が佐藤春夫の長男であることを書いていたのは
読売オンラインくらいではないか。
それがなければ、ただ流れ行く情報、ただひとつの事故死だった。

うたかた。
行く川の水面に弾ける泡沫。
その儚さの中に永遠が宿るのもまた真実だろう。

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